FXトレード戦記

FXトレードブログ

自分を守ってくれた自分

あの時の君は、すごく可愛かった。

すごく愛嬌が良くて、馴染みやすい性格

相手を立てて、いつも一歩後ろを歩く君

 

君のことを好きだという人が僕の周りにいっぱいいた。

僕はそのうちの一人だった。

 

君は高い峰の上で咲く花

僕はアスファルトの隙間から、何とか生えてる雑草

いつも犬にオシッコを掛けられている存在

 

そんな僕が君と付き合えたことが、

僕にとってあり得ないことだった。

 

若かりし頃、未熟だった僕は当然、君を受け入れる器はなく

僕の元から君は去っていった。

 

君の周りにはいつも男がいた。

それも当然だ。

それだけ可愛かった。

 

君が僕の友人と付き合っていること

君の彼氏が僕の目の前にいること

君が今この瞬間誰かと一緒にいること

 

全てが僕にとって、胸が引き裂けられるほどの苦しみだった。

だから、僕は大好きだった君との記憶、初めて君とキスをした記憶

初めて人を抱きしめた記憶、初めてデートした記憶、初めてエッチした記憶

 

その全てを扉の向こうに押し込んで、二度とそこに僕の意識が届かないように

心の奥底にしまい込んだ。

 

君の事が心の底から嫌いなんだと、自分に言い聞かせてきた。

そして、もう一人の自分が、惨めで、何の取り柄もない僕の現実を肯定し、

高嶺の花だった君を、遠ざけた。

 

それから、月日が流れその記憶は、完全に心の奥底にしまい込み、

その存在を僕の記憶から完全に消すことができた。

 

ただ、その記憶に僕が触れようとすると、もう一人の僕が、

激しく怒り、絶対に触れさせないよう、門番の役割を担っていた。

 

偶然君と再会した時、僕は過去の君を完全に忘れていて、

今現在の君が本当に好きだった。

 

頭の中では、過去の僕たちを受け入れて乗り越えたつもりだった。

だけど、僕が君を好きになると、僕を守ってくれたもう一人の自分が

目を覚まし、その記憶だけは絶対に開けさせないように激しい怒りを僕に与えた

 

大好きだけど、大嫌い

 

こんな状態が10年も続き、僕はもう一人の自分の存在に気づかぬまま

君を苦しみ続けてしまった。

 

君の過去は変えられない。僕にとって、君の過去はたいして重要ではない。

だけど、若かりし時に惨めだった僕を、必死に肯定化し、次に進めてくれた

僕がそれを許さなかった。

 

僕はやっともう一人の自分の存在に気が付き、

激しい怒りを与え僕を守ってきた僕と話し合うことができた。

 

過去が大事なのか?

今が大事なのか?

 

激しい怒りを与える過去の僕

未来に進みたい、現在の僕

 

ただ、今あるのは3人の子どもたちだった。

 

子どもたちの顔を見て、僕を守ってくれていた過去の僕の

激しい怒りが、沈静化していった。

 

そして、僕を守っていた過去の僕は、役割は終えたといい、扉を開けてくれた。

 

その扉の向こうには僕が忘れていた夢があった。

 

大好きだった君と結婚すること

いつか幸せな家庭を持つこと

安定した仕事を持つこと

 

 

そして、君のことが心の底から大好きだということ

 

その記憶を思い出した途端、涙が溢れ出た。

 

僕は手に入れたい、ほぼ全てのものを手に入れていた。

ずっとそれに気づけなかった。

 

君と一緒にいること

君と家族と一緒にいること

小さな幸せを、大事にし感じられること

 

これ以上ない幸せを手に入れながら、それに気づけなった。

幸せは、手に入れるだけではダメなのかもしれない

その幸せに気づけて、初めて手に入れていることに気づけるものなのかもしれない。

 

僕の人生でやり残したことはあと一つだけ。

 

 

君を精一杯幸せにすること。